2011年2月20日日曜日

今月のボストン日本人研究者交流会

また行ってきました。参加してらっしゃるみなさんは様々なバックグラウンドをお持ちで、そういう方たちと議論をするのは自分の視野を広げてくれる。馬鹿みたいに単純な計算をすれば、30才の方が10人いれば、300年分の知識に触れていることになる。
 
今回の講演の内容はこんな感じ。会場は個人的に MIT で一番不細工で美しい場所。


▲ Stata Center

以下の Ustream は 実際の講演の様子。この日の講演はどちらも強い共感を覚えた。

講演一本目


いっとき脳にハマっていた時期があって、Jeff Hawkins の On Intelligence とか、Francis Crick の Astonishing Hypothesis とか、Steve Grand の Growing Up with Lucy とかいろいろ読み漁ってた。脳の機能は全くもって不思議で感覚や認知、様々な側面があるが、そのメカニズムは思うに依然として謎につつまれたままである。脳の機能すべてを合わせ持ったコンピュータを作るのは、従って困難を極める。例えば、友人が2009年の夏のインターンでも関わってた、IBM の Watson が最近クイズ番組「Jeopardy!」で見事チャンピオンを破った。今のコンピュータにはそんなことができる一方で、犬と猫を瞬時に見極めるという人にとっては簡単なことが正確にできない(そんなアルゴリズムが Facebook で使用可能になったとしたら、気になってる人の写真を撮って、後で Facebook にアップロードして、その画像一致判定&検索アルゴリズムでその人のプロフィールをゲットすることだってできる)。Neuroscience からどのようなアイデアを拝借できるか、Machine Learning の分野からみても脳の働きは尽きせぬ興味の対象だろう。たしか CMU で Machine Learning Department の Tom Mitchel 教授が fMRI をもとに人の考えている言葉を予測するなんて研究をやっていた記憶がある。

講演二本目


普段仕事で、数学、プログラミング言語、アルゴリズムとかに携わっている身としては、二つ目の講演には反応せざるを得なかった。僕としては「数学が役に立たない時なんてないでしょ」と声高にして言いたいが、そんな自分も文科省の無愛想な数学の教科書に高一まで苦しめられた。悟りを開いてくれたのは、Scientific Education Group (SEG) の数学の講義だった。2x + 3y はベクトル(2,3) と (x,y) の内積にも見えるんだよ、と聞いたときの感動は今でも覚えている。この日のプレゼンでも触れられていた通り、残念ながら日本の大学入試の数学は評価すべき複数の側面のうち一部しか対象にしていない。文科省の教科書に載っていない、愛想のいい数学に触れるには、和書であれば虚数の情緒オイラーの贈り物数学ガール などの書籍にあたらなければならない。そんなことに気がついたのは、つい最近になってからだった。


この交流会に参加するといつも何かしら考えさせられるので、とてもためになっています。

2011年2月10日木曜日

彼は熱く、そして鋭い

去年の5月のカーネギーメロン大学の卒業式のときに初めてその名前を知った上杉周作さんのこのツイートがちょっとした話題になっている。

アップルで働くまで、イノベーションというのは「今にない、新しいものを作ること」だと思ってた。でもそれは違って、イノベーションというのは「未来にある普通のものを作ること」なのです。この違いを理解できるまでかなり時間がかかった。less than a minute ago via Echofon



卒業式のときに SCS の The Alan J. Perlis Undergraduate Student Teaching Award を受賞しており、Diploma Ceremony の冊子の彼の熱いメッセージを読んだときは、凄い人がいると思った。

正直、僕は上記のツイートの内容をまだ肌で感じきれていない。書いてあることはよく分かるのだが、ものを作る側の立場から経験を通してそれを噛みしめることができないのである。自身の経験を通してツイートで上記のようなことがフッと思い浮かぶのなら、Shu さんのからだの奥底に眠る能力と情熱は計り知れない。そんな彼が紡ぎだすツイートは切れ味がよく、見ていると気が引き締まる思いがして心地がよい。そしてシリコンバレーのような環境で、自らが生み出す刺激と周囲からの刺激でこれから先も遙かな高みを目指してどんどん上に昇っていくのだろう。こういう人たちから溢れるエネルギーをもらいつつ、僕も自分の山登りを楽しんでいくのだ。


追記:
ピッツバーグを離れる前、 CMU ニッポン懇親会なるものがあり、その日に一度 Shu さんに会うチャンスがあったのだが、就職先が決まってカリフォルニアに行った友人 S くんが(当時の)僕の部屋に残していった荷物をその日に S くんに向けて全発送しなければならなかった。発送後に体力を使い果たして残念ながら眠りこんでしまった、まったくもって無念。

2011年2月9日水曜日

最新刊



がやってくる。今月末発売だそうだ。乱択アルゴリズムというのは、randomized algorithms のことだろうか?とすると randomized quick sort の解析とか出てくるのかな?

「僕」たちと一緒に掲載されている問題に取り組むこともできるし、少し視点を変えて「僕」たちの学ぶ姿勢を学ぶこともできる。こういう本を書ける人はなかなかいないと思う。本当に、凄い人は世界中のどこにいても凄い仕事ができる、と思わせてくれる。

Moe を知る math 好きのアメリカ人に見せたら、売れるんでないか?

2011年2月2日水曜日

雪は~外、雪は~外

明日は今季最悪の吹雪の予報。帰宅したら、現在住んでいるアパートの管理人から「明日は猛吹雪だからバルコニーの雪を落としとくように」との置手紙が。12月から3度にわたる吹雪で積もりに積もった雪を放置してたツケが回ってきた。


▲ツケ


左:凍結して硬い部分はかかと落としで削ぎ落としながら攻める
右:なんかパイプが氷の棺の中に・・・


左:人力の成果を見よ
右:自分の部屋のバルコニーから。まだそんなにひどくないね

明日になったらこれ以上にまた積もるとか、完全にいたちごっこ。春はまだか。