今年もセルフレビューを提出したのですが、ひとつ挙げ損ねたことがあったので備忘録としてここに書きます。セルフレビューの項目のひとつに「己をより高めるために必要なことは何か」があるのですが、列挙し損ねたもののずっと考えていたことが「シェアできるようになる」ということです。
二人のエンジニアがいるとします。一人はデザイン能力に優れ、コーディングもメンテナンスしやすいよう構造を心がけ、質問すれば解決に必要な分の答えを返してくれる。もう一人は、前者と同等のデザイン、コーディングスキルを持ち、便利なツールがあればそれをチームで使うよう提示し、問題があればチームにいち早く警告を促し、失敗があれば誰かが同じ轍を踏まぬようそれを共有し、さらに他者から頻繁にされる質問への回答を社内の自身のブログに噛み砕いて記載する。
いまの会社では前者は当たり前のようにいます、大勢。後者は知る限り数人で、自分のチームにそのうちの一人がいます。テストを書く際に Google Test を導入したり、チーム内でソースファイルのフォーマット管理を簡単にするために C++ の ClangFormat の導入したりしたのもその人物によるもの。
前者が役不足なのではなく、後者は役という枠を超えて他者の生産性を挙げることも念頭に入れている。力量が並外れているからそういうことにも目がいくのか、あるいは他者への助けを意識するようになってから並外れた力量が身についたのか。Chicken or the egg 問題のようにも見えますが、個人的な見方ではおそらくこれは他者への心がけが先にあったからだと思います。他者への心がけが後づけで来たとしてもそれを長続きさせることは難しいからです。
確立したスキルを持つ集団の中でなにか有益なものをシェアをするという行為は自分にはまだまだ難しい。理想は、自分でここが不便だなと思って直してそれをシェアしたら、実はたくさんの人も同じ問題を抱えていて大規模なレベルで解決するに至ったという状態。つまり、影響力を持つ、ということです。この手の人はどの会社にいても力を発揮できると思います。力の身につけ方も知ってるし、自分で身につけた力をどう他人のために使うかを知っているから。
そんなこんなで仕事してます。今週が終われば現会社に丸5年勤めたことになります。あっという間だった。