2010年8月28日土曜日

私の答え:12匹のねずみとチーズ

それではクイズの答えです。使うチーズは全部で5個。

まずは12匹のねずみに A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,L と名前を付け、彼らを三つのグループに分けます。(A,B,C,D) (E,F,G,H) (I,J,K,L) となり、(A,B,C,D) にチーズ#1、(E,F,G,H) にチーズ#2、(I,J,K,L) にチーズ#3を与えます。議論を簡単にするため、A が特別なねずみだと仮定し、それを知らないふりをしつつ話しをすすめます。

[A は普通のねずみよりも食べるスピードが速い]
このケースでは、A を含むグループが早く食べ終わるので、食べるスピードが速いねずみはそのグループにいることが分かります。そして (A,B,C,D) が食べ終わった瞬間に (E,F,G,H) と (I,J,K,L) からチーズを取り上げます。この二つの食べかけは、おそらく形状こそ違えど、残量は等しくなっています。それぞれ食べかけ#1、食べかけ#2と呼びます。この時点で私達が分かっているのは、次の二つ。特別なねずみの食べるスピードは他よりも速いということと、そのねずみは (A,B,C,D) の中に紛れているということ。次に、(A,B,C,D) を (A,B) と (C,D) という二つのペアにわけ、(A,B) に食べかけ#1、(C,D) に食べかけ#2を与えます。繰り返しますが、これらの食べかけは同じ残量です。A を含むペアがまた早く食べ終わるので、これで A か B のどちらかが犯人だということが分かります。あとは、新品のチーズ#4と#5を取り出し、それぞれ A と B に食べさせます。早く食べ終わった方が特別なねずみということになります。

[A は普通のねずみよりも食べるスピードが遅い]
こちらのケースの方が難しくなります。A は食べるのが遅いため、(E,F,G,H) と (I,J,K,L) が先にかつ同時に食べ終わります。この観測から、特別なねずみは食べるのが遅いことが分かります。(E,F,G,H) と (I,J,K,L) が同時に食べ終わった瞬間に (A,B,C,D) からチーズをとりあげ、食べかけ#1とします。この時点で (A,B,C,D) に的を絞れたので、(A,B) と (C,D) の二ペアに分けそれぞれに新品のチーズ#4と#5を与えます。A が遅いので、(C,D) が先に完食し、また (A,B) に食べかけが残ります。これを食べかけ#2とします。さて、他に手掛かりはないでしょうか?出題時に、目分量で相対的に比較することはできないと書きましたが、食べかけ#1と食べかけ#2の残量の比較を定量的に行うことはできます。計算してみると、食べかけ#1の残量は食べかけ#2の残量の半分であることが分かります(詳細は下記を参照ください)。この情報を使いましょう。現時点での手掛かりは三つ、特別なねずみの食べるスピードは遅いということ、食べかけ#1の残量が食べかけ#2の残量の半分であるということ、そして犯人は A か B のどちらかだということ。ここからはこういうアプローチでいきます。A か B のうち一匹を選び、残量の少ない食べかけ#1を与えます。そして、A と B 以外のねずみはもう普通のねずみだと分かっているので、その中から二匹連れてきて残量の多い食べかけ#2を与えます。ここではその二匹を仮に (E,F) にしましょう。この設定でまた同時に食べさせます。食べかけ#1の残量が食べかけ#2の残量の半分であることを思い出しましょう。もしも、食べかけ#1を食べているねずみが遅いねずみ、すなわち A だった場合、(E,F) が先に食べかけ#2をフィニッシュするので、食べかけ#1を食べている遅いねずみ A が犯人だと分かります。逆に、食べかけ#1を食べているねずみが普通のねずみ B だった場合、B が食べかけ#1をフィニッシュするのと、(E,F) が食べかけ#2をフィニッシュするのは同じタイミングになります。なので、食べかけ#1 を食べるのにピックアップされなかった A が犯人ということが分かります。

どうでした、解けましたか?これが5つのチーズを使った答えで、この聞いたことのない問題が、いきなり第2ラウンドの電話インタビューで飛んできたので、インタビュー中に相当パニックになっていたのを覚えています。ですが、インタビュアーも要所要所でヒントをくれたので、それを頼りになんとか答えにたどり着きました。もしも、チーズ4つでいけた方は是非ご一報を!!

[特別なねずみが遅い場合の食べかけ#1と食べかけ#2の残量比較]
普通のねずみの単位時間あたりの食べるスピードを x、遅いねずみの単位時間あたりの食べるスピードを y (x > y) とします。そして、一匹の普通のねずみが新品のチーズひとつを食べるのにかかる時間を t とすると、新品のチーズの残量は、tx になります。(E,F,G,H) がフィニッシュしたときに食べかけ#1ができあがります。(E,F,G,H) がフィニッシュするまでの時間は、tx / 4x = t/4 になります。この時間内に、(A,B,C,D) は単位時間あたり 3x + y のスピードでチーズを食べます(普通のねずみ三匹と遅いネズミが一匹の合計)。なので、食べかけ#1の残量は、tx - (t/4)(3x + y) = tx/4 - ty/4 となります。
食べかけ#2ですが、これは (A,B) と (C,D) が同時に新品のチーズを食べ始め、(C,D) がフィニッシュしたときにそれが出来上がるのでした。上記と同様のパラメタを使うと、(C,D) がフィニッシュするのにかかる時間は、tx / 2x = t/2。そしてこの間に (A,B) は単位時間あたり x + y のスピードでチーズを食べています(普通のねずみ一匹と遅いネズミ一匹の合計)。なので、食べかけ#2の残量は、tx - (t/2)(x + y) = tx/2 - ty/2 となります。
以上、tx/4 - ty/4 = (1/2)(tx/2 - ty/2) から、確かに食べかけ#1の残量は食べかけ#2の残量の半分であることが分かります。

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