2010年8月7日土曜日

私の外国語習得法 Part2

今回は留学前の数カ月前、2005年の2月~4月あたりの話をします。さて、覚えたての言語で話そうとすると、この言い方って文法的にはあってるんだけど、普通そうは言わないよなあって、ネイティブの人から指摘されることがあるかと思います。なんでネイティブの脳は「普通そうは言わないよな」っていう判断を下せるんでしょう?私が留学の2,3か月前に抱いた疑問はここでした。私たちは生まれてから膨大な量の言葉のやりとりを知らず知らずのうちにこなしています。親との日常会話、兄弟や友達との喧嘩、スポーツの最中の声の掛け合い、電車に乗って聞こえる周りの人達の会話、飲み会でのバカ騒ぎ、お医者さんに行って自分の症状を説明する・・・どれだけ言語のプールに晒されているか、正直想像すらできないです。こうした言葉のやりとりという training data で訓練された結果、脳内に確固たる言語モデルが構築されていると私は考えてます。では、この脳の驚くべきプロセスに the hard way で対抗するためにはどうしたらいいか。最初のステップとして自分が考えたことは三つありました。1) 自分のレベルにあったスピーキングの教材を選ぶこと2) 自分自身を幼少時代に戻すこと3) 心の中のつぶやきは全部英語で、でした。

まず 1)ですが、リスニンピックで24個の映画を英語字幕でディクテーション、シャドーイングしたのはリスニングの役には立ちましたが、スピーキングではリスニングほど効果が出ませんでした。それは映画に出てくるようなシーンは、自分の日常の中ではまずほとんど出くわさないからです。映画で学ぶ英語の名ゼリフなんていうのもありますが、それはその名の通り、セリフにすぎません。そのセリフのあとが続かないのです。パンチラインをため込む時期も必要ですが、それはいわばバラバラになった点。会話のコンテキストに合わせて、それらを操る別の能力が必要になってきます。CNN もいいのですが、アナウンサーの口調で他人に話しかける姿が想像できますか?Times もいいのですが、新聞に書かれてる語り口調で他人に話しかける姿が想像できますか?映画およびこれらの教材は使われている英語が洗練されすぎてかつ場面設定に対する自分の心理的距離が遠すぎて relate できないため、スピーキングの基礎づくりとしてはあまりに難易度が高すぎました。難しすぎるからキーフレーズみたいな「点」しか取り出せなかった。ミーティングやプレゼンでは英語が話せても、会議室を一歩出て、バーでダンスをしながら話す英語やボーリングをしながら話す英語が出てこないのは、上手すぎる言い回しだけに偏っている証拠で、子供が使うようなもっとプリミティブで、それでいて懐の深い骨太な英語を身につけるのが先決だと考えたのは、こんな経験からです。

次に 2)ですが、自分は子供の頃どうやって日本語に馴染んできたか考えました。日常で話すような言葉はアニメやゲームで覚えました。ならば、英語でも同じことをしてやれと思い、日本のアニメやゲームの翻訳版にあたることにしました。ドラゴンボールなら、はっきり言ってほとんどのセリフが頭に入ってるといってもおかしくないほど読んでいましたから、これに対応した英語ならば、CNN で聞こえてくる英語よりもすんなりと自分の核に吸収されるのではないかと思いました。「クリリンのことかーっ!!!!!」の英語なら一発で入って、口から出てくる気がしません?ドラゴンボールを英語で全巻読み、アニメも英語で結構な話数を見て、そのレベルの英語を自由に加工して話せるようにしました。一か月半くらいかかった気がします。ほかにもファイナルファンジー、クロノトリガーなど、子供のころ馴染んだセリフが詰まったゲームの英語版をプレイして、ずっとぶつぶつ唱えていました(クロノトリガーの英語で検索したらこんなサイトもありました)。やはり子供のころに馴染んだセリフだと、それに対応した英語も体にすっと入ってきて、映画英語やニュース英語で覚えた言い回しよりも、加工しやすかったのを覚えています。舞台設定やセリフは小さいときに刷り込まれているので、その刷り込まれた日本語とそれに対応する英語の橋渡しが、映画やニュースに出てくる英語に比べてやりやすかったからでしょう。しかし、問題もありました。映画同様、上記の教材は舞台設定が自分の日常生活とあまりにかけ離れすぎていたのです。そこでまた考えました。自分の日常に近い設定で、かつ子供のころの自分が話していたようなセリフをかけあっている教材はないものか?ありました。


▲ 日本語版放映タイトル アイドル密室殺人事件

ご存じ名探偵コナンです。英語のタイトルだと「Case Closed」。留学前にこれを見つけたのは本当に幸運でした。自分に必要なものが全てそろっている。子供同士の登校下校、親との会話、友人とのおしゃべり、殺意を抱くまでになったドロドロした人間関係の記述。さらには、現場検証、推理、トリックの説明がすべて英語になります。とくに推理とトリックは日本語で説明しても難しいのに英語でできたらもう完璧でしょう。論理の組み立ての見本として、もってこいの教材です。Youtube にアップロードされている Case Closed のクリップは英語字幕がなく、音声字幕機能を使ってもかなり外れています。英語版の DVD を買えば正しい英語字幕が(途中の巻まで)見られます。いきなり音声がキツい方は漫画の英語版もあるので、そちらもオススメです。

最後に 3)。日本にいる以上、入ってくる音や目で見る文字は全て日本語で、こればかりはコントロールのしようがない。ならば自分の内界だけでも英語に変えてやれと思い、黙り込んだときは心の中で全て英語で話すようにしました。「お、電車が来た。やばいやばい、早く乗らなくちゃ」とか。心で思って、何て英語で言っていいか分からなかったときは、Case Closed を参照して、自分が直面したのと似たようなシーンを漫画から探し出し、そこでなんて言ってるか調べて自分のものにする。それの繰り返しでした。

以上の 1)、2)、3)が、映画リスニンピックの後、留学前にやっていたことです。アメリカに来てからの学習法はまたいずれ。

あと今回書いたことをいま中国語でもそっくりそのままやろうとしています。中国語版の名探偵コナンもありますね。

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