11月は休暇でまるまる日本にいました。2年ぶりの帰国に胸を躍らせ実際に帰国してからというもの、コンビニに入ってその充実っぷりにテンションが上がったり、友人に会ったり、会社の東京オフィスに行ったり、温泉に行ったり、ドラクエ25周年の展示会に行ったり、藤子・F・不二雄ミュージアムに行ったりと、夢のような時間を過ごしました。
こういう素晴らしい国が母国で、家族や友人がそこで自分の帰りを待っているという安心感は、何物にもかえられません。妙に聞こえるかもしれませんが、僕の将来の夢は帰国して日本で暮らすことだと誓い、日本を後にしました。
就労ビザである H1B を正式に取得し、無事に仕事も再開しました。毎日刺激的で、製品を進化させるべく最前線で15年~20年闘ってきた職人たちと一緒に頭をひねるというこの環境は、今まで自分の人生にはなかったものです。年が離れているメンバーもいるため、Mentor/Apprentice のような感もありますが、結局のところは、同じ目標に向かって日々前進するチームメンバーという不思議な関係です。1990年代(当時、僕は中学生です)から製品がどう変化してきたかを目の当たりにし、そのアーキテクチャーの内部を熟知している人たちに追いていくのは一筋縄ではいかない。世の中には自分の周りの人たちのスキルレベルに追いつけばその分野で本物になれる、そういう場所がたくさんあると思っています。そして、自分のいる「環境」もまさしくそういうところです。「環境」とくくったのは、環境が本物なのであって自分自身はそれに程遠い・・・という意味が込められています。本当にずば抜けた人は環境に依存しない、ずば抜けたらもうすでに世界で指折りの人間になっていた、そんな感じなんでしょうね。
なんだか日本には帰国しなかったんじゃないかってくらい元の生活に深く埋まってしまいました。年の瀬、のんびりと時間を過ごすため、今の仕事に合わせて昔なんとなく読んだ本をのんびり読み返してます(↓とか)。
2011年12月9日金曜日
2011年10月15日土曜日
ありがとう Engineering Development Group
2011年10月14日をもって、一年半所属してきた Engineering Development Group (EDG) を離れることになりました。これまで素晴らしい人々に囲まれ、大変居心地のよい環境で仕事をさせてもらいました。去年は、キャリアフェアでカーネギーメロン大学の学生を相手にインタビューをする機会もありましたし、普段は、国籍、男女、年齢を問わず、技術系の話で盛り上がれる素晴らしい職場でした。この間も、インド人の女の子たち同士で Stanford の Distributed Education でどのコースをとるかの話で盛り上がっていました。
技術サポートしたてのころは、お客さんに「全然サポートになってない、この理論に関してもっと詳しい人はいないのか?」のようなことを電話越しに言われ、ショックを隠しつつも冷静なフリをして対応を続けたこともありました。英語を第二外国語とする者にとって、もっとも困難なコミュニケーション形態は間違いなく電話です。人間は、相手の表情、唇の動き、しぐさから非常に多くの情報を得ています。英語で話していても、これはしかりです。電話で頼りになるのは、音声のみ。さらに MATLAB を使っているお客さんの国籍は様々なので、電話越しの英語のアクセントも同様に様々だということです。この状況で、問題を正確に把握し、できうる限りのソリューションを見つけ、わかりやすく説明する。これは面白く、非常に有益な体験でした。仮にいま就職活動中だとしたら、僕は2年前のときよりも電話インタビューで上手い対応ができるはずです。
最初に開発のポジションにアプライしたときは、「開発の経験をもっと積むように」との返事でリジェクトされましたが、その後の社内の開発プロジェクトで新しいことを吸収することができ、その結果として新しい開発のポジションに就くことができました。そのポジションがあいたとき、自分のこなした開発プロジェクトのスポンサーとほぼ同じチームだったので、そのままスムーズに異動できるかと思えば、そうは問屋が下ろさない。新しいチームのメンバーとそれぞれ 45分から60分かけて behavioral interview かつ technical interview があります。とあるブログで Twitter の面接記があり、話題になりましたが、採用プロセスは本来そうあるべきなのです。今回の社内異動の面接でも再び役に立った
EDG がなければこのステップにたどりつくことはできなかったでしょう。EDG の job description に書かれていたことは、まさにそのとおりでした。ドラクエ3のように、ジョブチェンジするとレベルは1に戻りますが、以前に習得したスキルは確実に残る。新しいチームのパーティーのメンバはすでに全員レベル高いので、自分もたくさん経験値を積んでレベルアップしていきます。さあ、来週から開発チームでギア全開でいこう!
僕が直接お会いし、その後の自分の人生に影響を及ぼした人物の引用を最後に。
技術サポートしたてのころは、お客さんに「全然サポートになってない、この理論に関してもっと詳しい人はいないのか?」のようなことを電話越しに言われ、ショックを隠しつつも冷静なフリをして対応を続けたこともありました。英語を第二外国語とする者にとって、もっとも困難なコミュニケーション形態は間違いなく電話です。人間は、相手の表情、唇の動き、しぐさから非常に多くの情報を得ています。英語で話していても、これはしかりです。電話で頼りになるのは、音声のみ。さらに MATLAB を使っているお客さんの国籍は様々なので、電話越しの英語のアクセントも同様に様々だということです。この状況で、問題を正確に把握し、できうる限りのソリューションを見つけ、わかりやすく説明する。これは面白く、非常に有益な体験でした。仮にいま就職活動中だとしたら、僕は2年前のときよりも電話インタビューで上手い対応ができるはずです。
最初に開発のポジションにアプライしたときは、「開発の経験をもっと積むように」との返事でリジェクトされましたが、その後の社内の開発プロジェクトで新しいことを吸収することができ、その結果として新しい開発のポジションに就くことができました。そのポジションがあいたとき、自分のこなした開発プロジェクトのスポンサーとほぼ同じチームだったので、そのままスムーズに異動できるかと思えば、そうは問屋が下ろさない。新しいチームのメンバーとそれぞれ 45分から60分かけて behavioral interview かつ technical interview があります。とあるブログで Twitter の面接記があり、話題になりましたが、採用プロセスは本来そうあるべきなのです。今回の社内異動の面接でも再び役に立った
最新版は第5版です。100ページ近く加筆されているので、第4版よりオススメ! |
Cracking the Coding Interview にもあるとおり、interviewer が過剰なプレッシャーをかけるのには意味があるのです。この状況下を乗り越えられる candidate であれば、おそらく日々の仕事で降りかかる困難の壁やプレッシャーにも耐えることができるだろう、と。さらに、仕事はチーム単位で行うため、この candidate を加えることで、今のチームメンバーの負担が軽くならなければいけない。そして、現チームメンバーもおそらく同じ採用プロセスを経てきたので、新しく加入するメンバーに対し、お前もよくやった、とねぎらいの気持ちが自然に湧いてくるのです。したがって、将来のチームメンバーひとりひとりと時間をかけて面接をするという採用プロセスは至極普通のもの、ということになります。
アメリカでの経験において、僕が好きなことは、失敗をしても再挑戦できるということです。「今回は駄目でも、傷が回復したらまた挑戦してこい。俺たちはいつでも歓迎するし、こちらもまた全力で迎え撃つ。」といわんばかりの、チャレンジ精神を掻き立てる環境がそこに与えられているのです。
これまでは、大学院を卒業したばかりの年の近い同僚がたくさんいる居心地のよい場所でしたが、来週からは、開発の経験年数が僕の年齢の半分以上というような人が数人だけいる特殊な環境になります。新しい同僚は、全員自分より年配で C++ の魔術師ばかりなので、なにが何でも食いついていかないといけません(MATLAB 本体が C++ で実装されているということは、べつに secret でも何でもなく、運悪く MATLAB が crash してしまった人は、ここを見ればおそらく crash dump が見つかると思います。そして、crash dump の中の stack trace に STL やら boost やらが見えると思います)。本音を言えば、C++ より C の方が好きなんですけど。しかし個人的には、これまでの人生で最高に燃える瞬間が来たと思っています。
EDG がなければこのステップにたどりつくことはできなかったでしょう。EDG の job description に書かれていたことは、まさにそのとおりでした。ドラクエ3のように、ジョブチェンジするとレベルは1に戻りますが、以前に習得したスキルは確実に残る。新しいチームのパーティーのメンバはすでに全員レベル高いので、自分もたくさん経験値を積んでレベルアップしていきます。さあ、来週から開発チームでギア全開でいこう!
ありがとう EDG |
僕が直接お会いし、その後の自分の人生に影響を及ぼした人物の引用を最後に。
Life is too short to do a lousy job.
10/12/2006 - Anthony Lattanze, Carnegie Mellon University
You have to love your job just like you love your family.
10/28/2006 - John Vu, The Boeing Company
Choose a job that makes you go "Wow" every morning before you go to work.
7/3/2009 - Anthony Lattanze, Carnegie Mellon University
2011年10月9日日曜日
Defending Champion
去年の TopCoder Open 2010 に引き続き、rng_58 こと副島真さんが TopCoder Open 2011のアルゴリズム部門を再び制覇したんですね。
しかも、今年の Google Code Jam でもチャンピオン。おめでとうございます。
副島さん、筑駒にいたときには国際数学オリンピックで金メダルも獲得とか。
彼の頭の回転で一度世の中を見てみたいものです。
しかも、今年の Google Code Jam でもチャンピオン。おめでとうございます。
副島さん、筑駒にいたときには国際数学オリンピックで金メダルも獲得とか。
彼の頭の回転で一度世の中を見てみたいものです。
2011年9月11日日曜日
2011年9月1日木曜日
あやしげな回転寿司と伝説の書
てきとーなエントリ。
先月あたり、Natick Collection に回転寿司がオープンしました。日本人である僕が見ると、なんだかあやしいお店のように見えます。 店の名前は Wasabi、回転しているネタにはどれも妙なプラスチックの蓋がされている。突っ込みどころがありすぎて、まだ実際には入っていません。
著者らはこれ以上望めないであろう最高の執筆陣。 はじめて読む486 の参考文献に、この Programming the 80386 が載ってると思ったんですけど見当たらなかったんですよね。
著者の蒲地さんは絶対にコレを参考にしたと思ったんですがね、、
来週の月曜は祝日なのでじっくりと読めます。
先月あたり、Natick Collection に回転寿司がオープンしました。日本人である僕が見ると、なんだかあやしいお店のように見えます。 店の名前は Wasabi、回転しているネタにはどれも妙なプラスチックの蓋がされている。突っ込みどころがありすぎて、まだ実際には入っていません。
あと、伝説の名著が届いた。
来週の月曜は祝日なのでじっくりと読めます。
2011年8月30日火曜日
アホすぎる
Hurricane Irene 改め、Tropical Storm Irene は Natick 地方には特別に大きな被害を出さずに通り過ぎていきました。自然災害におびえることなく日常を過ごせることのありがたみを久々に味わいました。ちなみに、CNN を見ていると、現在は Hurricane への対応に関してその postmortem が行われている様子。
車のエンジンがスタートしなかった件ですが、室内灯がつけっぱでバッテリーがあがったのが原因でした。アホすぎてもう・・・(泣) 友人が Jump Start Cable で充電してくれて、見事に再起動しました(ありがとう!)。ひとつ油断したのは、ヘッドライトをつけっぱなしで車外に出ようとすると警告音が出るのですが、室内灯は、つけっぱで車外に出ようとしても警告音が出ないのです。ライトに関してはすべて警告音が出るものと思い込んでいたので、室内灯のつけっぱには気付かずに車を出てしまったのが敗因でした。うむ、consistent な振舞いにするためにソフトウェアのパッチを要求したい。でもまぁ、まずは自分のそのお粗末な脳にパッチをあてろと言われそうですが、、
また今回を機に、自分の自動車保険は towing をカバーしていないことがわかったので、さっそく保険を更新しようと思います(もしくは、AAA なるサービスに入るかのどちらか)。
車のエンジンがスタートしなかった件ですが、室内灯がつけっぱでバッテリーがあがったのが原因でした。アホすぎてもう・・・(泣) 友人が Jump Start Cable で充電してくれて、見事に再起動しました(ありがとう!)。ひとつ油断したのは、ヘッドライトをつけっぱなしで車外に出ようとすると警告音が出るのですが、室内灯は、つけっぱで車外に出ようとしても警告音が出ないのです。ライトに関してはすべて警告音が出るものと思い込んでいたので、室内灯のつけっぱには気付かずに車を出てしまったのが敗因でした。うむ、consistent な振舞いにするためにソフトウェアのパッチを要求したい。でもまぁ、まずは自分のそのお粗末な脳にパッチをあてろと言われそうですが、、
また今回を機に、自分の自動車保険は towing をカバーしていないことがわかったので、さっそく保険を更新しようと思います(もしくは、AAA なるサービスに入るかのどちらか)。
2011年8月26日金曜日
Hurricane Irene
先日の地震に引き続き、今度はハリケーンが接近中です。今日も仕事帰りに少し風が出ていました。
週末から週明けにかけてボストンエリアを直撃しそうなので、今のうちにみんなが避難できるような地下室を見つけておかないといけません。
また自宅の周りには木々がたくさんあるので、それらが倒れてきたときのことを考えて自動車もどこかに退避しないといけないかもしれません。
友人たちと連絡をとりあって、今後のハリケーンの動きに注意しようと思います。
追記(8/26):
いま CNN を見ていますが、風の危険性以上に水の危険性が高そうです。ハリケーンの規模がとにかく大きいので、一度圏内にかかると、向こう24時間はその圏内に捕まったまま。さらに悪いことに、反時計周りに回転しながら海岸沿いに上がってきているので、海の水を大量に内陸に巻き込むようだ。
しかし、ハリケーンはある程度、軌道、規模、到達時間の予測が可能(しかも、時間を追ってその予測修正が可能)なので、マシな気もします。予測不能の地震およびそれに伴う津波の方がどれだけ大変なことか・・・
追記(8/27):
うお、雨がどしゃどしゃ降ってきた!こんな日に限って、車のエンジンがかからなくなるし。ハリケーンをなんとか切り抜けて、月曜日に修理しなければ。
べつに大気圏まで連れていかれて体をばらばらに引き裂かれるわけじゃないしね。なんとかなるっしょ。ちなみに、現在の Irene のサイズはヨーロッパと同じくらいの大きさらしい。
週末から週明けにかけてボストンエリアを直撃しそうなので、今のうちにみんなが避難できるような地下室を見つけておかないといけません。
また自宅の周りには木々がたくさんあるので、それらが倒れてきたときのことを考えて自動車もどこかに退避しないといけないかもしれません。
友人たちと連絡をとりあって、今後のハリケーンの動きに注意しようと思います。
追記(8/26):
いま CNN を見ていますが、風の危険性以上に水の危険性が高そうです。ハリケーンの規模がとにかく大きいので、一度圏内にかかると、向こう24時間はその圏内に捕まったまま。さらに悪いことに、反時計周りに回転しながら海岸沿いに上がってきているので、海の水を大量に内陸に巻き込むようだ。
しかし、ハリケーンはある程度、軌道、規模、到達時間の予測が可能(しかも、時間を追ってその予測修正が可能)なので、マシな気もします。予測不能の地震およびそれに伴う津波の方がどれだけ大変なことか・・・
追記(8/27):
うお、雨がどしゃどしゃ降ってきた!こんな日に限って、車のエンジンがかからなくなるし。ハリケーンをなんとか切り抜けて、月曜日に修理しなければ。
べつに大気圏まで連れていかれて体をばらばらに引き裂かれるわけじゃないしね。なんとかなるっしょ。ちなみに、現在の Irene のサイズはヨーロッパと同じくらいの大きさらしい。
2011年8月5日金曜日
コミッタになります
MathWorks に入社してから約一年半が経つ。そして最近インタビューがあって、開発チームからオファーをいただき、近いうちにそこに異動することが決まった。したがって、今の部署 Engineering Development Group (EDG) で 50% サポート、50% プロジェクトでこれまできていたのが、100% 開発にスイッチする。
EDG からどの部署への異動するかは、かんぜんに本人の希望次第。設計したり、がりがりコードを書いたりしたい人は、Development や Quality Engineering が待っているし、テクニカルでありながらお客様との直接コンタクトを望む人には、Application Engineering や Consulting というような選択肢がある。以前のエントリーにも掲載したが、詳しくはこちら。
もともと開発系に行きたかったものの、具体的にどのチームに行きたいかは入社当初さだかではなかった。MATLAB の Toolbox の数をかぞえてみても想像できるかもしれないが、社内にあふれるドメインの種類はそれこそ様々。そんな数多の選択肢の中から、自分の異動先を決めるきっかけになったのは、お客様のケースにじかに触れられる EDG での経験、伊藤直也さんのブログエントリー「エンジニアの不安と壁」、書籍 Binary Hacks 巻頭の川合史朗さんの「本書に寄せて」、そしてカーネギーメロン大学のソフトウェア工学修士で学んだこと、などだった(このほかにも、きっかけになったエピソードは多くあります)。これらが常に頭の片隅にあって、入社してしばらくしてから、自分はこの道に進むと心にかたく誓った。そしてその道のスタート地点に立つことができた今、これから自分が考えることは、”やるか、もしくはやれないか”。小飼弾さんのいうところの「エンジニアとは肩書きではない。行為であり行動なのだ」である。
と、いろいろ理屈を並べてみたが、結局のところは「それがクールで好きだから」、ただそれに尽きます。
推薦を蹴って大学受験をすると言い出したとき、カーネギーメロン大学のソフトウェア工学修士にアプライしたとき、米国で就職活動したとき、そして今回、希望の異動先を自分で決めてそこに異動が決まったとき、これらのすべて出来事を振り返ってみて気づいたことは、自分がもの凄くしつこい性格をしているということだった。具体的には、1) 一度こうだと決めたら、その道を貫く。結果を出すまで他人からの誘いやオファーは基本的に受け入れない(もちろん考慮はする)。 2) 最後まであきらめず突っ走って結果を出す。成功であれ、失敗であれ、いつでも自分の手で結末を叩き出しそれを自分の目で見る。
仕事の昼休みは片手でパンをかじりながらいつも技術書を読んでたし、週末もコンピュータ、数学関連のことに明け暮れた。決してまっすぐな道のりではなかったが、これまで人生で下してきた決断を悔いたことは僕はあまりない。自分で道を切り開いていくとき、ターニングポイントで自分に嘘をつかなかったからだろう。
これから長い旅が始まる。オープンソースではない proprietary な世界だけど、ここで全力を出して日々楽しんでいくとしよう。あと当然ながら、外の世界の動きにもアンテナを張ることを忘れてはいけない。いつでも自分のショボさを知るのは半分気持ちがいいものだ。
EDG からどの部署への異動するかは、かんぜんに本人の希望次第。設計したり、がりがりコードを書いたりしたい人は、Development や Quality Engineering が待っているし、テクニカルでありながらお客様との直接コンタクトを望む人には、Application Engineering や Consulting というような選択肢がある。以前のエントリーにも掲載したが、詳しくはこちら。
もともと開発系に行きたかったものの、具体的にどのチームに行きたいかは入社当初さだかではなかった。MATLAB の Toolbox の数をかぞえてみても想像できるかもしれないが、社内にあふれるドメインの種類はそれこそ様々。そんな数多の選択肢の中から、自分の異動先を決めるきっかけになったのは、お客様のケースにじかに触れられる EDG での経験、伊藤直也さんのブログエントリー「エンジニアの不安と壁」、書籍 Binary Hacks 巻頭の川合史朗さんの「本書に寄せて」、そしてカーネギーメロン大学のソフトウェア工学修士で学んだこと、などだった(このほかにも、きっかけになったエピソードは多くあります)。これらが常に頭の片隅にあって、入社してしばらくしてから、自分はこの道に進むと心にかたく誓った。そしてその道のスタート地点に立つことができた今、これから自分が考えることは、”やるか、もしくはやれないか”。小飼弾さんのいうところの「エンジニアとは肩書きではない。行為であり行動なのだ」である。
と、いろいろ理屈を並べてみたが、結局のところは「それがクールで好きだから」、ただそれに尽きます。
推薦を蹴って大学受験をすると言い出したとき、カーネギーメロン大学のソフトウェア工学修士にアプライしたとき、米国で就職活動したとき、そして今回、希望の異動先を自分で決めてそこに異動が決まったとき、これらのすべて出来事を振り返ってみて気づいたことは、自分がもの凄くしつこい性格をしているということだった。具体的には、1) 一度こうだと決めたら、その道を貫く。結果を出すまで他人からの誘いやオファーは基本的に受け入れない(もちろん考慮はする)。 2) 最後まであきらめず突っ走って結果を出す。成功であれ、失敗であれ、いつでも自分の手で結末を叩き出しそれを自分の目で見る。
仕事の昼休みは片手でパンをかじりながらいつも技術書を読んでたし、週末もコンピュータ、数学関連のことに明け暮れた。決してまっすぐな道のりではなかったが、これまで人生で下してきた決断を悔いたことは僕はあまりない。自分で道を切り開いていくとき、ターニングポイントで自分に嘘をつかなかったからだろう。
これから長い旅が始まる。オープンソースではない proprietary な世界だけど、ここで全力を出して日々楽しんでいくとしよう。あと当然ながら、外の世界の動きにもアンテナを張ることを忘れてはいけない。いつでも自分のショボさを知るのは半分気持ちがいいものだ。
A good scientist is a person with original ideas. A good engineer is a person who makes a design that works with as few original ideas as possible. There are no prima donnas in engineering.
Freeman Dyson
2011年7月30日土曜日
学校で習ったことを身につけていれば、こんな風になれる
Khan Academy という、様々な分野の講義をたった一人でやってのけている素晴らしいサイトがあります。ひとつひとつの講義時間もそんなに長くなく、何かを説明するときもいくつも段階を踏んでやってくれるのでとても分かりやすい。
ビデオがカバーしている分野を見ると、わりと中学や高校でやったものが多いことに気づく。そのときそのときに教えられたものを忘れずに身につけていれば、こんな風なこともできるんだと、改めて習ったものを身につけるということの難しさを感じている。
言い換えれば学校とかで一方的に人から教わったものは、まずほとんど自分の中には残らないってこと。このサイトが役に立つと思えば思うほど、that's the case なんです。トライ&エラーで自分でやるしかないんだ、結局。
ビデオがカバーしている分野を見ると、わりと中学や高校でやったものが多いことに気づく。そのときそのときに教えられたものを忘れずに身につけていれば、こんな風なこともできるんだと、改めて習ったものを身につけるということの難しさを感じている。
言い換えれば学校とかで一方的に人から教わったものは、まずほとんど自分の中には残らないってこと。このサイトが役に立つと思えば思うほど、that's the case なんです。トライ&エラーで自分でやるしかないんだ、結局。
2011年7月11日月曜日
家族が遊びにきました
一年のうちで暖かく比較的過ごしやすい7月に、家族にボストンに来てもらうことにしました。父親と直接会うのは約2年ぶり、母親とは去年のサンクスギビング以来です。7月1日、仕事の後にローガン空港まで車を運転して二人を迎えにいきました。前回母親が来たときは車なしだったので、移動するのにいろいろ不便だったなあと、空港に向かう車の中で思い出してました。
その週の土曜日は大手のアジアンマートである H マートに行きました。個人的には日本食の食材の豊富さに驚嘆してほしいところだったのですが、二人とも日本から来たばかりだったのであまり感激していない様子。日曜日はトランスフォーマー3・3D を地元の映画館で観ました。字幕なしの映画はキツかったようです。
月曜日は、去年以来のアメリカ独立記念日。家族でボストンの街に遊びに行きました。ボストン美術館は運悪く休みだったので、
その週の土曜日は大手のアジアンマートである H マートに行きました。個人的には日本食の食材の豊富さに驚嘆してほしいところだったのですが、二人とも日本から来たばかりだったのであまり感激していない様子。日曜日はトランスフォーマー3・3D を地元の映画館で観ました。字幕なしの映画はキツかったようです。
月曜日は、去年以来のアメリカ独立記念日。家族でボストンの街に遊びに行きました。ボストン美術館は運悪く休みだったので、
チャールズ川
を歩いて回りました。途中、川沿いで花火の場所探しをしていた同僚にも会いました。去年と違い、今年は次の日が平日だったので僕たちは花火は見ないでそのまま Natick に戻ってきました。
独立記念日の週の平日は僕は仕事でしたが、両親は引き続きボストンの街を楽しんでいました。
水族館近くのハーバー
次の週末は、毎年恒例の会社の summer outing。夜、豪雨の中の高速を走りぬけて到着した場所は、ブレトン・ウッズ協定が結ばれた Mount Washington Hotel 。去年と同じ場所です。その堂々たる外観に去年目を丸くして、自分が死ぬまでに一度家族を連れてこようと決心していました。そしてそれはマイカーを購入した一番の動機でもありました。
左:ホテル外観
右:ホテル内部
アメリカの他の会社の社員旅行については知りませんが、この会社の社員旅行は基本的に自由行動。好きな時間に現れて、飲んで踊って、統率なんて言葉は皆無。慣れきってしまうと、時間厳守のスケジュールには戻れません。
Mt. Washington はリゾート地で、ゴルフ、ハイキング、乗馬、カヤック、など何かしらやることがあります。僕は去年、同僚のインド人とアメリカ人と一緒に山の奥にある滝を見に行きました。今年は家族とともに、山の上を走る鉄道 Mt. Washington Cog Railway に乗って、Mt. Washington の山頂まで行きました。
左:Railway 外観
右:コンダクターのお兄さん
左:ハイカーも見かけました
右:高度は2000m 近く
左:頂上は濃霧と立っているのがやっとの強風
右:山頂の建設物内
下りの鉄道が出発するまで一時間ほどあったので、「ここワシントン山の山頂」と書かれたサインのところで記念撮影などをしていました。無事に麓に降りてきてから、 Mount Washington Hotel の夕食に向かいました。
左:夕食時の様子
右:去年は見られなかった花火のサービス。独立記念日の代わりになりました
左:最終日も晴天
右:Mount Washington Hotel に向かう途中にある Saco River
左:帰りにもう一度 Mount Washington Hotel に寄り
右:再び 3 時間のドライブを経て
やっとこさ Natick に戻ってきました
家族にも楽しんでもらったようで何よりでした。これまでの親不孝、これで少し帳消しになったか?
2011年7月1日金曜日
どっちの継ショー
Built-in class から継承したいときってありますよね。ちょっといじってて気づいたんですが、built-in class 側で提供されているオペレータをサブクラス側で明示的に overload せずにサブクラスから使ったときにそれがどう振舞うかはどうも言語によって異なるらしい。例えば、数を扱う built-in class を継承したときに、単項プラスを overload せずにサブクラス側でそれをそのまま使うとどうなるか。
まず、Ruby
ところでこのあたりの振舞いを切り替えられる言語ってあるのでしょうか。
まず、Ruby
class MyClass < Numericいっぽう Python では
end
obj = MyClass.new
(+obj).class # prints "MyClass"
class MyClass(float):そして MATLAB だと
pass
obj = MyClass()
type(+obj) # prints "<class 'float'>"
% class definition goes to myclass.mまだ他の言語では試してないけれど、この中だと Ruby だけ振舞が違う。サブクラス側でわざわざ overload しなくてもサブクラスのタイプにしてくれるあたり、Ruby は痒いところに手が届いている。機能拡張のため、Built-in クラスを継承して、そのサブクラスのオブジェクト間でオペレータを機能させたい時には、断然 Ruby のほうがよさそう。型互換のために、サブクラス側でわざわざ built-in クラスのオペレータを overload するのは手間がかかりそうだし。
classdef myclass < double
methods
function obj = myclass(x)
obj = obj@double(x)
end
end
end
obj = myclass(0)
class(uplus(obj)) % prints "double"
ところでこのあたりの振舞いを切り替えられる言語ってあるのでしょうか。
2011年6月17日金曜日
雑記:沈まないよう泳げるようになる
いま仕事の時間の半分は開発をしています。手取り足取りなんて言葉はないので、正味一カ月で5000行くらいコードを読んで、そこからノウハウを盗んだ。データ構造の選び方やパターンの使い方がきれいなエンジニアさんを見つけたので、その人のコードを参考にするだけでも勉強になる。コードの見た目とかは Code Complete を横に置いてそれでちょびちょび補足する。カーネギーメロンで学んだことを思い出して、自分の理解をわかりやすく他人に伝える。仕事あがりや週末は本を読む。SICP、Binary Hacks、Rubyソースコード完全解説、The Rootkit Arsenal、はじめて読む486、ふつうのHaskellプログラミング、ふつうのコンパイラをつくろう、文字コード技術入門、C++ Concurrency in Action、Understanding Linux Kernel、JavaScript The Good Parts あたりがワーキングセット。青木さんの本には本当にお世話になってます。そして相変わらず打率が悪すぎる TopCoder だが、とりあえず毎週プラクティスを続ける。物体が加速するのは、時々刻々等しい力がかかっているからだ。力がなくなった瞬間に等速もしくは減速運動になりはてる。ともあれ、間違ったアプローチを正しく実装できるようにはなった。
My Job Went to India で目にした
学生のときよりさらに遊ばなくなった気がするけど、泳げるようになるにはこれくらいのことは最低限やらないとダメかな。自分で決めたんだし、楽しいし。You asked for it :P
My Job Went to India で目にした
自分の人生を他人任せにするな。J2EEのアーキテクトになりたい?だけど、今一番心配してるのはコレ。自分たちのドッグフードを食べるのはもちろん大事だけど食べ過ぎでお腹一杯になるのもよくない。自分たちのドッグフードにロックインされて、外に出て使いものにならない技術者になったらおしまいだ。なんて思う半面、そんなことはとりあえず中で使えるような人間になってから言えと自分によく言い聞かせる。
学生のときよりさらに遊ばなくなった気がするけど、泳げるようになるにはこれくらいのことは最低限やらないとダメかな。自分で決めたんだし、楽しいし。You asked for it :P
2011年6月1日水曜日
改めて分かる自分がショボイ理由
いつだったか、こんな記事を目にした。TOEICはどれぐらい英語ができないかを測る試験、ホーと思ったわけである。そして次にこんなの。
また、ホーとなるわけである。これらは僕の受けてきた試験すべてに当てはまる;中学受験、大学受験、留学受験、米国の入社試験。どれもそのときは必死だったが、ゲートをくぐった先の人達から見ればただの sanity check でしかない、残念なことに。自分の場合、学位を取得するなんて行為も、教授陣たちから見ればただの sanity check でしかなかったのかもしれない。
「Rubyソースコード完全解説」を購入して1年ほど経つ。全章を二回読んだが、これだけの宇宙をよくもまあ Matz さんお一人で、ともう惚れ惚れ(著者の青木さんにも感謝!それでも評価器のところがまだ全然把握できなくて。しかもこのあとには YARV が控えているという)。見る者を強引に納得させてしまうこんな芸術を作れるかどうかなんて、sanity check を通るのとはっきり言って無関係なわけで。創作指向の人たちは sanity check のことなんか構うことなく自分の創作物を世に出していく。つくづくカッコいい。
「ドリブルこそチビの生きる道なんだよ!!」ではないが、こんな自分が生きる道もそこら辺にあると信じて、その道を少しずつ歩み始めたところです。
「GREとかTOEFLとかあるよ」とか言う輩はあちらの事情を知らない。ああいうテストの類は、得体のしれないアジアからの応募者をフルい落とすための言い訳としてしか使われない。「こいつは研究できる」となったらテストの点なんか関係ない。現に俺は、ある意味裏口入学した。 #morePhDless than a minute ago via HootSuite Favorite Retweet ReplyNao Tsuchiya
NaoTsuchiya
また、ホーとなるわけである。これらは僕の受けてきた試験すべてに当てはまる;中学受験、大学受験、留学受験、米国の入社試験。どれもそのときは必死だったが、ゲートをくぐった先の人達から見ればただの sanity check でしかない、残念なことに。自分の場合、学位を取得するなんて行為も、教授陣たちから見ればただの sanity check でしかなかったのかもしれない。
「Rubyソースコード完全解説」を購入して1年ほど経つ。全章を二回読んだが、これだけの宇宙をよくもまあ Matz さんお一人で、ともう惚れ惚れ(著者の青木さんにも感謝!それでも評価器のところがまだ全然把握できなくて。しかもこのあとには YARV が控えているという)。見る者を強引に納得させてしまうこんな芸術を作れるかどうかなんて、sanity check を通るのとはっきり言って無関係なわけで。創作指向の人たちは sanity check のことなんか構うことなく自分の創作物を世に出していく。つくづくカッコいい。
「ドリブルこそチビの生きる道なんだよ!!」ではないが、こんな自分が生きる道もそこら辺にあると信じて、その道を少しずつ歩み始めたところです。
2011年5月24日火曜日
とあるマンガからの名言集
「いつまでも同じところに止まっていたらダメなんだ。やなことがあるからって、楽な方にばかり逃げてちゃどんどんダメになる。何かを求めて前に進むんだ。自分の足で歩くしかないのさ。」
「才能なんてものがあるとすれば、それはないヤツよりも少しだけ上達する時間が少なくて済むっていう程度のもんだ。努力の積み重ねをひっくり返してしまうほどの天性なんてありえない。少なくともこの俺は一度もそんなものみたことはない。勝ち負けは経験の差だ。」
「どれほどの技術を習得していても、これでいいと思ってしまえばその状態を維持することも難しい。常に上を向いて努力を続けていなければ、その上のレベルに移行することはできない。道を極めるとはそういうことだと思っている。おれはもう若くない、現状維持が精一杯なんだよ。だが君は若い、さらに上を目指していけるはずだ。」
到達できるレベルの差こそあれ、こういう意識のもとで行動することがたいせつ。
「才能なんてものがあるとすれば、それはないヤツよりも少しだけ上達する時間が少なくて済むっていう程度のもんだ。努力の積み重ねをひっくり返してしまうほどの天性なんてありえない。少なくともこの俺は一度もそんなものみたことはない。勝ち負けは経験の差だ。」
「どれほどの技術を習得していても、これでいいと思ってしまえばその状態を維持することも難しい。常に上を向いて努力を続けていなければ、その上のレベルに移行することはできない。道を極めるとはそういうことだと思っている。おれはもう若くない、現状維持が精一杯なんだよ。だが君は若い、さらに上を目指していけるはずだ。」
到達できるレベルの差こそあれ、こういう意識のもとで行動することがたいせつ。
2011年5月17日火曜日
壁
にぶち当たっている。
超えられれば一皮むけるし、超えられなければそれまで。
もがいて乗り越えた人だけが先に進める。
というわけで、自分のこれはとてもいい壁。
ただ、ぬりかべくらい厚い壁だと思いこむと脳がビビッてしまうので、一反木綿くらいぺらんぺらんの壁なんだと自分に言って聞かせる。
なんだかんだで楽しんでいる自分がいる。
追記 (2011/05/19):
もがいてたら、壁を出口の見えるトンネルにすることができた。出口まで道のりはあるけれど、最後までいけるはず!
超えられれば一皮むけるし、超えられなければそれまで。
もがいて乗り越えた人だけが先に進める。
というわけで、自分のこれはとてもいい壁。
ただ、ぬりかべくらい厚い壁だと思いこむと脳がビビッてしまうので、一反木綿くらいぺらんぺらんの壁なんだと自分に言って聞かせる。
なんだかんだで楽しんでいる自分がいる。
追記 (2011/05/19):
もがいてたら、壁を出口の見えるトンネルにすることができた。出口まで道のりはあるけれど、最後までいけるはず!
2011年3月27日日曜日
Got My Car!
2011年3月18日金曜日
無に敏感、有に鈍感
それすなわち、どの人もおそらく一度は感じたであろう幸福に対する感覚。この世は、奇跡で満ち溢れている。太陽の存在、地球の存在、太陽と地球の距離、大陸の存在、水の存在、空気の存在、食糧の存在、生物の存在、人間の存在、家族の存在、友人の存在、あるいは人間を生かす肉体の存在。マズローの唱える欲求には階層があり、それぞれの層で欲求が満たされたときの幸福感があるならば、幸福も同様の階層構造を成すはずである。前述の数々の奇跡がもたらす幸福は、最下層に位置している最も感謝されるべき幸福といっていい。
悲しいかな、この最下層の幸福は実現されているだけでもありがたいはずなのに、それしか実現されていない状態では、所属・愛の欲求や自己実現の欲求といった上層の欲求しか目がいかなくなる。しかし、ひとたび上層の幸福が実現されれば下層の幸福など見向きもしなくなる。いわゆる「当たり前」というやつである。この幸福段階説では人間の脳の「慣れ」のせいで、さらなる欲求を満たすために下層の幸福を足場にして階層を見上げるのは容易だが、現状を支えているその足場に感謝をするために階層を見下ろすのは困難なのだ。もしも、今回の東日本大震災で自分の地域が被災を免れ、心なしかいつもより自分の状況が良く見えたとしたら、それは日頃から下層の幸福に対する感謝を怠っていたということかもしれない。しかし、普段から下層の幸福に対しはっきりと感謝の意を表すことは難しい。そういった習慣をつけるとしたら
話が変わりますが、僕がいる department でも呼びかけに応じて大勢の同僚が donation をしてくれました。離れた地からではあるけれど、全力で復興にあたるみなさんの手助けをしたい。どうかこの元気玉が届きますように。
悲しいかな、この最下層の幸福は実現されているだけでもありがたいはずなのに、それしか実現されていない状態では、所属・愛の欲求や自己実現の欲求といった上層の欲求しか目がいかなくなる。しかし、ひとたび上層の幸福が実現されれば下層の幸福など見向きもしなくなる。いわゆる「当たり前」というやつである。この幸福段階説では人間の脳の「慣れ」のせいで、さらなる欲求を満たすために下層の幸福を足場にして階層を見上げるのは容易だが、現状を支えているその足場に感謝をするために階層を見下ろすのは困難なのだ。もしも、今回の東日本大震災で自分の地域が被災を免れ、心なしかいつもより自分の状況が良く見えたとしたら、それは日頃から下層の幸福に対する感謝を怠っていたということかもしれない。しかし、普段から下層の幸福に対しはっきりと感謝の意を表すことは難しい。そういった習慣をつけるとしたら
- 「もし家族がいなくなったら・・・、もし家がなくなったら・・・、もし事故に巻き込まれたら・・・、もし重病を患ったら・・・」、頭の中で big if を想像し、現状がどれだけ幸せかを心の中で感じ取る。
- この世の調和をもたらしている存在があることを信じ、その存在に対し日々の恵みを感謝する。
話が変わりますが、僕がいる department でも呼びかけに応じて大勢の同僚が donation をしてくれました。離れた地からではあるけれど、全力で復興にあたるみなさんの手助けをしたい。どうかこの元気玉が届きますように。
2011年3月6日日曜日
人生初 NBA 観戦
今週、NBA に詳しい友人と Celtics の試合観戦に行ってきた。
左:ボストンダウンタウンにある TD ガーデン
右:ガーデン 4F
中学時代に数年バスケをやってたから、プロの試合を観るのは楽しみだった。それでも、Red Sox のときと同様選手の名前を事前に知らなかったのは完全に、にわかな証拠・・・
左: Rajon Rondo のパス回し
右: Steve Nash の零角度シュート!
試合は、115-103 で Celtics が Suns に勝利。去年の Red Sox 対 Yankees 戦も Red Sox が勝ったし、自分が観戦に行くときのボストン側のチームの勝率は100%、素晴らしい。
高校からずっとテニスやってきたけど、体力つけてバスケもまたやりはじめよっかな。
左:ボストンダウンタウンにある TD ガーデン
右:ガーデン 4F
中学時代に数年バスケをやってたから、プロの試合を観るのは楽しみだった。それでも、Red Sox のときと同様選手の名前を事前に知らなかったのは完全に、にわかな証拠・・・
左: Rajon Rondo のパス回し
右: Steve Nash の零角度シュート!
試合は、115-103 で Celtics が Suns に勝利。去年の Red Sox 対 Yankees 戦も Red Sox が勝ったし、自分が観戦に行くときのボストン側のチームの勝率は100%、素晴らしい。
高校からずっとテニスやってきたけど、体力つけてバスケもまたやりはじめよっかな。
2011年2月20日日曜日
今月のボストン日本人研究者交流会
また行ってきました。参加してらっしゃるみなさんは様々なバックグラウンドをお持ちで、そういう方たちと議論をするのは自分の視野を広げてくれる。馬鹿みたいに単純な計算をすれば、30才の方が10人いれば、300年分の知識に触れていることになる。
今回の講演の内容はこんな感じ。会場は個人的に MIT で一番不細工で美しい場所。
▲ Stata Center
以下の Ustream は 実際の講演の様子。この日の講演はどちらも強い共感を覚えた。
講演一本目
いっとき脳にハマっていた時期があって、Jeff Hawkins の On Intelligence とか、Francis Crick の Astonishing Hypothesis とか、Steve Grand の Growing Up with Lucy とかいろいろ読み漁ってた。脳の機能は全くもって不思議で感覚や認知、様々な側面があるが、そのメカニズムは思うに依然として謎につつまれたままである。脳の機能すべてを合わせ持ったコンピュータを作るのは、従って困難を極める。例えば、友人が2009年の夏のインターンでも関わってた、IBM の Watson が最近クイズ番組「Jeopardy!」で見事チャンピオンを破った。今のコンピュータにはそんなことができる一方で、犬と猫を瞬時に見極めるという人にとっては簡単なことが正確にできない(そんなアルゴリズムが Facebook で使用可能になったとしたら、気になってる人の写真を撮って、後で Facebook にアップロードして、その画像一致判定&検索アルゴリズムでその人のプロフィールをゲットすることだってできる)。Neuroscience からどのようなアイデアを拝借できるか、Machine Learning の分野からみても脳の働きは尽きせぬ興味の対象だろう。たしか CMU で Machine Learning Department の Tom Mitchel 教授が fMRI をもとに人の考えている言葉を予測するなんて研究をやっていた記憶がある。
講演二本目
普段仕事で、数学、プログラミング言語、アルゴリズムとかに携わっている身としては、二つ目の講演には反応せざるを得なかった。僕としては「数学が役に立たない時なんてないでしょ」と声高にして言いたいが、そんな自分も文科省の無愛想な数学の教科書に高一まで苦しめられた。悟りを開いてくれたのは、Scientific Education Group (SEG) の数学の講義だった。2x + 3y はベクトル(2,3) と (x,y) の内積にも見えるんだよ、と聞いたときの感動は今でも覚えている。この日のプレゼンでも触れられていた通り、残念ながら日本の大学入試の数学は評価すべき複数の側面のうち一部しか対象にしていない。文科省の教科書に載っていない、愛想のいい数学に触れるには、和書であれば虚数の情緒、オイラーの贈り物、数学ガール などの書籍にあたらなければならない。そんなことに気がついたのは、つい最近になってからだった。
この交流会に参加するといつも何かしら考えさせられるので、とてもためになっています。
今回の講演の内容はこんな感じ。会場は個人的に MIT で一番不細工で美しい場所。
▲ Stata Center
以下の Ustream は 実際の講演の様子。この日の講演はどちらも強い共感を覚えた。
講演一本目
いっとき脳にハマっていた時期があって、Jeff Hawkins の On Intelligence とか、Francis Crick の Astonishing Hypothesis とか、Steve Grand の Growing Up with Lucy とかいろいろ読み漁ってた。脳の機能は全くもって不思議で感覚や認知、様々な側面があるが、そのメカニズムは思うに依然として謎につつまれたままである。脳の機能すべてを合わせ持ったコンピュータを作るのは、従って困難を極める。例えば、友人が2009年の夏のインターンでも関わってた、IBM の Watson が最近クイズ番組「Jeopardy!」で見事チャンピオンを破った。今のコンピュータにはそんなことができる一方で、犬と猫を瞬時に見極めるという人にとっては簡単なことが正確にできない(そんなアルゴリズムが Facebook で使用可能になったとしたら、気になってる人の写真を撮って、後で Facebook にアップロードして、その画像一致判定&検索アルゴリズムでその人のプロフィールをゲットすることだってできる)。Neuroscience からどのようなアイデアを拝借できるか、Machine Learning の分野からみても脳の働きは尽きせぬ興味の対象だろう。たしか CMU で Machine Learning Department の Tom Mitchel 教授が fMRI をもとに人の考えている言葉を予測するなんて研究をやっていた記憶がある。
講演二本目
普段仕事で、数学、プログラミング言語、アルゴリズムとかに携わっている身としては、二つ目の講演には反応せざるを得なかった。僕としては「数学が役に立たない時なんてないでしょ」と声高にして言いたいが、そんな自分も文科省の無愛想な数学の教科書に高一まで苦しめられた。悟りを開いてくれたのは、Scientific Education Group (SEG) の数学の講義だった。2x + 3y はベクトル(2,3) と (x,y) の内積にも見えるんだよ、と聞いたときの感動は今でも覚えている。この日のプレゼンでも触れられていた通り、残念ながら日本の大学入試の数学は評価すべき複数の側面のうち一部しか対象にしていない。文科省の教科書に載っていない、愛想のいい数学に触れるには、和書であれば虚数の情緒、オイラーの贈り物、数学ガール などの書籍にあたらなければならない。そんなことに気がついたのは、つい最近になってからだった。
この交流会に参加するといつも何かしら考えさせられるので、とてもためになっています。
2011年2月10日木曜日
彼は熱く、そして鋭い
去年の5月のカーネギーメロン大学の卒業式のときに初めてその名前を知った上杉周作さんのこのツイートがちょっとした話題になっている。
卒業式のときに SCS の The Alan J. Perlis Undergraduate Student Teaching Award を受賞しており、Diploma Ceremony の冊子の彼の熱いメッセージを読んだときは、凄い人がいると思った。
正直、僕は上記のツイートの内容をまだ肌で感じきれていない。書いてあることはよく分かるのだが、ものを作る側の立場から経験を通してそれを噛みしめることができないのである。自身の経験を通してツイートで上記のようなことがフッと思い浮かぶのなら、Shu さんのからだの奥底に眠る能力と情熱は計り知れない。そんな彼が紡ぎだすツイートは切れ味がよく、見ていると気が引き締まる思いがして心地がよい。そしてシリコンバレーのような環境で、自らが生み出す刺激と周囲からの刺激でこれから先も遙かな高みを目指してどんどん上に昇っていくのだろう。こういう人たちから溢れるエネルギーをもらいつつ、僕も自分の山登りを楽しんでいくのだ。
追記:
ピッツバーグを離れる前、 CMU ニッポン懇親会なるものがあり、その日に一度 Shu さんに会うチャンスがあったのだが、就職先が決まってカリフォルニアに行った友人 S くんが(当時の)僕の部屋に残していった荷物をその日に S くんに向けて全発送しなければならなかった。発送後に体力を使い果たして残念ながら眠りこんでしまった、まったくもって無念。
アップルで働くまで、イノベーションというのは「今にない、新しいものを作ること」だと思ってた。でもそれは違って、イノベーションというのは「未来にある普通のものを作ること」なのです。この違いを理解できるまでかなり時間がかかった。less than a minute ago via Echofonshu uesugi (上杉周作)
chibicode
卒業式のときに SCS の The Alan J. Perlis Undergraduate Student Teaching Award を受賞しており、Diploma Ceremony の冊子の彼の熱いメッセージを読んだときは、凄い人がいると思った。
正直、僕は上記のツイートの内容をまだ肌で感じきれていない。書いてあることはよく分かるのだが、ものを作る側の立場から経験を通してそれを噛みしめることができないのである。自身の経験を通してツイートで上記のようなことがフッと思い浮かぶのなら、Shu さんのからだの奥底に眠る能力と情熱は計り知れない。そんな彼が紡ぎだすツイートは切れ味がよく、見ていると気が引き締まる思いがして心地がよい。そしてシリコンバレーのような環境で、自らが生み出す刺激と周囲からの刺激でこれから先も遙かな高みを目指してどんどん上に昇っていくのだろう。こういう人たちから溢れるエネルギーをもらいつつ、僕も自分の山登りを楽しんでいくのだ。
追記:
ピッツバーグを離れる前、 CMU ニッポン懇親会なるものがあり、その日に一度 Shu さんに会うチャンスがあったのだが、就職先が決まってカリフォルニアに行った友人 S くんが(当時の)僕の部屋に残していった荷物をその日に S くんに向けて全発送しなければならなかった。発送後に体力を使い果たして残念ながら眠りこんでしまった、まったくもって無念。
2011年2月9日水曜日
最新刊
2011年2月2日水曜日
雪は~外、雪は~外
2011年1月22日土曜日
なにかに迷ったら物事の一方向性をたよりに行動
こんな図を考える。
これは 状態 A から状態 B へは移れるが、状態 B から状態 A に戻ることは至極困難だということを示す。日常での例を挙げると、
【状態 A: たばこを吸わない 状態 B: たばこを吸う】
【状態 A: 勉学にいそしむ 状態 B: 酒におぼれる】
【状態 A: 物を生み出す 状態 B: 物を消費する】
【状態 A: 人を褒める 状態 B: 人をけなす】
【状態 A: もう少し頑張る 状態 B: あきらめる】
繰り返すが、状態 A にいられれば状態 B にもいられるけど(たぶんそうはしない)、状態 B に慣れたら状態 A に移ることは難しいという話。こういう状況で、僕はできる限り状態 A に身を置くことを選んできた。そうしたほうが精神的に前向きでいられることが多かったから。たとえば、
【状態 A: 大学受験する 状態 B: 推薦をとる】
当時は、せっかく勉強したんだから受験しないのはもったいないと思っただけ。推薦モードに切り替えるなんて楽なことだし。あらかじめ定められたカリキュラムにとらわれずに自分をのばせるモノが見つかってるなら、大学受験なんかしないで推薦をとる方が利口。僕はそうじゃなかったから受験の道を選んだ。センター試験で失敗したけど。
【状態 A: 海外で学ぶ 状態 B: 日本でまず就職】
これは日本での就職活動が始まろうとしてた時のこと。インターンの面接で落ちたときに、どちらの道をとるか迷っていた。たぶん年をとればとるほど、自分を取り巻く状況や人間関係の変化で、海外に行くことは比較的困難になるだろうと思っていた。実際はそういうこともないのだろうけど、自分の性格上そう決め込んでしまうだろうと。ただしこの場合、海外で年をとって日本に戻って就職活動が楽になるかというとそんなこともないが、自分は日本国籍だから母国での方がビザの制約もなくいつでも比較的身軽に動けると思った。悩んだ結果、両者の一方向性を考えて当時は海外で学ぶ方を選択した。
【状態 A: 米国で就職活動 状態 B: 日本で就職活動】
これは米国の大学院卒業間近のこと。やはりビザの制約で米国で就活できる期間は限られている。一度日本に戻ると、物理的に米国にいられないため、米国での就活はしにくくなる。日本での就活なら日本国籍だからいつでもできる。だから、米国で就活することを選んだ。付け加えるとすれば、周りのインド人や中国人も米国で仕事を見つけようとしてるのなら、日本人の自分にできないわけがない、とも思った。アインシュタインと自分ほど頭の出来が違うわけじゃないんだし。
人生で迷ったら一方向性を指針に決断する。キーワードは「迷ったら」。迷わなかったら、もうコアのレベルで行動の判断基準が hard-wired されているから、その判断基準を変える必要もない。その人はそれでハッピーだろう。しかし、迷っているうちはどの道をとるかで葛藤が起きている証拠。そして、直面してる課題をもしもこのモデルに落とし込めるのなら、状態 B にはいつでも移れるんだから(移ったら移ったで大変かもしれんが)まずは状態 A にいることから始めるのも悪くないという話でした。
追記:
コメントで指摘していただいた通り、上記の生産、消費は遷移の対象として捉えるよりも個々の異なる事象と捉えるほうが納得がいくかもしれない。ちょうど個人をタイプを診断する Myers-Briggs Type Indicator のそれぞれの指標のように。僕が5つめの指標を導入するとしたら、あなたは生産者、消費者のうちどっち?ってのを作るかな。
これは 状態 A から状態 B へは移れるが、状態 B から状態 A に戻ることは至極困難だということを示す。日常での例を挙げると、
【状態 A: たばこを吸わない 状態 B: たばこを吸う】
【状態 A: 勉学にいそしむ 状態 B: 酒におぼれる】
【状態 A: 物を生み出す 状態 B: 物を消費する】
【状態 A: 人を褒める 状態 B: 人をけなす】
【状態 A: もう少し頑張る 状態 B: あきらめる】
繰り返すが、状態 A にいられれば状態 B にもいられるけど(たぶんそうはしない)、状態 B に慣れたら状態 A に移ることは難しいという話。こういう状況で、僕はできる限り状態 A に身を置くことを選んできた。そうしたほうが精神的に前向きでいられることが多かったから。たとえば、
【状態 A: 大学受験する 状態 B: 推薦をとる】
当時は、せっかく勉強したんだから受験しないのはもったいないと思っただけ。推薦モードに切り替えるなんて楽なことだし。あらかじめ定められたカリキュラムにとらわれずに自分をのばせるモノが見つかってるなら、大学受験なんかしないで推薦をとる方が利口。僕はそうじゃなかったから受験の道を選んだ。センター試験で失敗したけど。
【状態 A: 海外で学ぶ 状態 B: 日本でまず就職】
これは日本での就職活動が始まろうとしてた時のこと。インターンの面接で落ちたときに、どちらの道をとるか迷っていた。たぶん年をとればとるほど、自分を取り巻く状況や人間関係の変化で、海外に行くことは比較的困難になるだろうと思っていた。実際はそういうこともないのだろうけど、自分の性格上そう決め込んでしまうだろうと。ただしこの場合、海外で年をとって日本に戻って就職活動が楽になるかというとそんなこともないが、自分は日本国籍だから母国での方がビザの制約もなくいつでも比較的身軽に動けると思った。悩んだ結果、両者の一方向性を考えて当時は海外で学ぶ方を選択した。
【状態 A: 米国で就職活動 状態 B: 日本で就職活動】
これは米国の大学院卒業間近のこと。やはりビザの制約で米国で就活できる期間は限られている。一度日本に戻ると、物理的に米国にいられないため、米国での就活はしにくくなる。日本での就活なら日本国籍だからいつでもできる。だから、米国で就活することを選んだ。付け加えるとすれば、周りのインド人や中国人も米国で仕事を見つけようとしてるのなら、日本人の自分にできないわけがない、とも思った。アインシュタインと自分ほど頭の出来が違うわけじゃないんだし。
人生で迷ったら一方向性を指針に決断する。キーワードは「迷ったら」。迷わなかったら、もうコアのレベルで行動の判断基準が hard-wired されているから、その判断基準を変える必要もない。その人はそれでハッピーだろう。しかし、迷っているうちはどの道をとるかで葛藤が起きている証拠。そして、直面してる課題をもしもこのモデルに落とし込めるのなら、状態 B にはいつでも移れるんだから(移ったら移ったで大変かもしれんが)まずは状態 A にいることから始めるのも悪くないという話でした。
追記:
コメントで指摘していただいた通り、上記の生産、消費は遷移の対象として捉えるよりも個々の異なる事象と捉えるほうが納得がいくかもしれない。ちょうど個人をタイプを診断する Myers-Briggs Type Indicator のそれぞれの指標のように。僕が5つめの指標を導入するとしたら、あなたは生産者、消費者のうちどっち?ってのを作るかな。
2011年1月21日金曜日
2011年1月13日木曜日
2011年1月9日日曜日
Went Watch Summer Wars ... Again !
今日、映画 Summer Wars を鑑賞してきた。前回は東京、今回はボストン美術館で。ボストン地方は、昨日の夜あたりから雪がまた降り始め、Commuter Rail も止まるんじゃないかと思ったが前回ほど降りはひどくなかった。
左:前回撮り損ねた Boston Commons の Frog Pond
右:雪の中のボストン美術館、開館前
ボストン美術館の中の Remis Auditorium というところで上映。
左:ポスター
右:Auditorium 内
英語吹き替えだと思って勝手に期待してたら、日本語音声に英語字幕で肩透かしくらった。作品自体は久しぶりに見たけど、相変わらずの爽快感。甲子園とか花札とかこちらの人には馴染みのないものがあっただろうけど、最後は拍手喝采。劇中に観客が笑ってた回数は、一年半前の日本の観客のそれよりかなり多かった。例えば、「人を守ってこそ、己を守ることができる」って下りが「七人の侍」のセリフだっていうシーンとか、健二くんが暗算中に鼻血を出すシーンとかで笑う。笑いのツボに素直なのかもね。ちなみに、そのクライマックスシーンの健二くんの「よろしくおねがいしまぁぁぁす!」の英訳は「Yes, please !!」。自分がアメリカ人だったら、この映画で日本語勉強してただろうなあ。日本のアニメーション作品がボストン美術館で上映されるのは、やっぱり凄いことだと思う。芸術だと fine arts と performing arts の二単語を聞いたことがあるけれど、ボストン美術館は Museum of Fine Arts だから、映像作品は fine arts の扱いになるってこと?
映画の後はもう雪は止んでいたが、せっかくなので館内の鑑賞をしてきた。今日一番インパクトが強かったのは、去年の11月20日から始まった展示 Fresh Ink。2006年に10人の墨絵画家を招き、各々に館内の展示物ひとつをテーマとして選んでもらい、それに対するレスポンスとなる作品を生みだしてもらったそうだ。墨をテーマにしてるからか、2008年の「井上雄彦 最後のマンガ展」に行ったときのデジャヴを感じた。
左:ボストンの大学生9人がモデルとなっている
右:ひとつの岩を様々な角度でとらえる
このほかにも見て回ったが、今日は展示物の時代背景をよく読むことを心がけた。ある展示物が、なぜそういう形をしているのか、なぜそういう色を用いて描かれたのか、なぜそのモチーフなのか。歴史的背景を把握すると、展示物が少し違って見える。展示物は黙ってただそこに佇むだけで、何も語りかけてはくれない。人間関係同様、相手を理解するには自分の方から学ばないと。歴史のいい勉強になりそうです。
左:前回撮り損ねた Boston Commons の Frog Pond
右:雪の中のボストン美術館、開館前
ボストン美術館の中の Remis Auditorium というところで上映。
左:ポスター
右:Auditorium 内
英語吹き替えだと思って勝手に期待してたら、日本語音声に英語字幕で肩透かしくらった。作品自体は久しぶりに見たけど、相変わらずの爽快感。甲子園とか花札とかこちらの人には馴染みのないものがあっただろうけど、最後は拍手喝采。劇中に観客が笑ってた回数は、一年半前の日本の観客のそれよりかなり多かった。例えば、「人を守ってこそ、己を守ることができる」って下りが「七人の侍」のセリフだっていうシーンとか、健二くんが暗算中に鼻血を出すシーンとかで笑う。笑いのツボに素直なのかもね。ちなみに、そのクライマックスシーンの健二くんの「よろしくおねがいしまぁぁぁす!」の英訳は「Yes, please !!」。自分がアメリカ人だったら、この映画で日本語勉強してただろうなあ。日本のアニメーション作品がボストン美術館で上映されるのは、やっぱり凄いことだと思う。芸術だと fine arts と performing arts の二単語を聞いたことがあるけれど、ボストン美術館は Museum of Fine Arts だから、映像作品は fine arts の扱いになるってこと?
映画の後はもう雪は止んでいたが、せっかくなので館内の鑑賞をしてきた。今日一番インパクトが強かったのは、去年の11月20日から始まった展示 Fresh Ink。2006年に10人の墨絵画家を招き、各々に館内の展示物ひとつをテーマとして選んでもらい、それに対するレスポンスとなる作品を生みだしてもらったそうだ。墨をテーマにしてるからか、2008年の「井上雄彦 最後のマンガ展」に行ったときのデジャヴを感じた。
左:ボストンの大学生9人がモデルとなっている
右:ひとつの岩を様々な角度でとらえる
このほかにも見て回ったが、今日は展示物の時代背景をよく読むことを心がけた。ある展示物が、なぜそういう形をしているのか、なぜそういう色を用いて描かれたのか、なぜそのモチーフなのか。歴史的背景を把握すると、展示物が少し違って見える。展示物は黙ってただそこに佇むだけで、何も語りかけてはくれない。人間関係同様、相手を理解するには自分の方から学ばないと。歴史のいい勉強になりそうです。
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